不思議談
第十二話

題名
ある夏

投稿者
涼子様



まだ私が小学校中学年の頃だったから、9年程前の話でしょうか。
当時私たちの家族は、千葉の田舎の方に住んでいて、家の裏には大きな雑木林が広がっていました。
私と双子の兄は、よくそこで友達と虫を取ったりして遊んでいました。
ある年の、夏休みも終わりに近づいた頃。
夕方、兄が『ちょっと散歩に行ってくる』
と言ったので、私もついて行くことにしました。
雑木林の中を歩き回ること約30分。・・・・
そろそろ帰ろうかという流れになり、元来た道を戻ろうとしたのですが、変です。
帰り道が分からないのです。
いくら大きいといえど、もう何べんも入っていて、迷うことなんてありえなかったのですが、元来た道が無くなっていたというか・・・・・・・
とにかく、帰り道が分からなくなってしまったのです。
でもとりあえず歩いてればどこかに出られるだろうとのん気に構えていた私達は、適当に林の中を歩き始めました。
でも、いつまで経っても出口は見えず、むしろ奥に迷い込んだような感じでした。
辺りはすっかり暗くなり、私達は段々不安になってきました。
何時間歩いたでしょうか。
辺りは完全に闇に包まれ、歩くことさえままならなくなってきました。
私達はほぼ同時にとうとう泣き出して、その場に座り込んでしまいました。
その時、耳元で小さな子供の声が聞こえました。

『あ〜ぁ、泣いちゃった』・・・

『ちょっと遊んだだけなのに』・・・

『この子らどうする?』・・・

『このままだとちょっとかわいそう』・・・

『帰してあげようか』・・・

『そうしようか』・・・・

気付くと私達は、林の入り口付近の大きな岩の上に座り込んでいました。
辺りは夕暮れです。私が兄の顔を覗き込みながら、恐る恐る
『・・・アレ、聞こえた?』
と聞くと、兄は黙って震えながら頷きました。
私達は何が起こったのか全く分からず、次の瞬間一目散に家に逃げ帰りました。
それから私達は引っ越すまで、その林には絶対2人で入らないと決めていました。
今もあの林はあるんでしょうかね・・・・



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