第六夜
第七七話

題名
有名スポット

投稿者
渚様



あれは、ある夏の日のことでした。
その頃の私の趣味はサイクリングで、毎日のようにあちこちへと出かけていました。
また、夏ということもあり、オカルト的なものが好きな私は近所の心霊スポットなどを調べては足を運んでいました。
そして、その日も例の如く、地元ではほとんどの人が知っている有名スポットへと足を運ぶことにしました。
前々から興味を抱いていた友人も一緒に行く事になったのですが、時間が合わないため、現地集合ということになりました。
私は自転車を走らせ、集合時間よりも早くそのスポットに着きました。
そのスポットは廃墟だったのですが、私は何処からか視線を感じていました。それも一つではなく、複数でした。
その廃墟の前で待っていると、友人が同じく自転車でやってきました。
そしていざ中へ入ろうとしたその時でした。玄関の目の前で私の足が動かなくなりました。思うように声も出ません。友人が心配して私の肩を叩いてきた時にハッと我に返りました。
言い訳っぽくなりますがが別に怖いとかそういうものではありませんでした。本能的に歩みが止まったのです。
廃墟の入り口の前に立った途端、すぐ正面に階段があったようなのですが、今はそれがなく、2階へは行けなくなっていたのですが、その2階から人の気配がしたのです。勿論、他に人がいないことは確認済みです。
その後は中に入らないように気を付けながら、周りを一周し、それから携帯で1枚だけ写真を撮りました。
そこには、無数の顔が映っていました。中にはこちらを睨んでいる物も確認できました。
とりあえず一旦帰ろうということになり、私達はそれぞれの家へと向かいました。
しかし、私はその帰り道で3回、車に轢かれそうになりました。明るい道で、見晴らしの良い道で。勿論、安全運転を心がけていたのですが、急に車が飛び出して来て、私の前を通り過ぎていきました。
その時、耳元で誰かの声が聞こえました。何を言っているのかはわかりませんが、確かに誰かが何かを言っているのが聞こえました。
その日の晩から私は気分が優れず、数日間体調不良が続きました。
恐らく、何かしらの悪いモノを連れて来てしまったのだろうと思いますが、現在では特に支障が無いので安心しています。



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