東北の親戚の家で過ごしていた頃、私は毎日のように親戚のおじさんと山へ芝刈りに出掛けてました。その時経験した話。
その日はたまたま夜遅くなり、おじさんと私、そしておじさんの息子でS兄さんと三人で山を降りていました。昼間に降った雪が積もっていて、空に満天の星空と綺麗な満月が印象的だったのを覚えています。冬はとくに空気が澄んでいるものですから。おじさんもS兄さんも人がよく優しいひとたちでしたがひどく無口でもありました。まぁ、私もそうですので三人は無言のままその夜空の下を歩いていました。
林をぬけ小高い丘に出た時、むこうに子連れの髪の長い女の人が林に向うのが見えました。しかし、その女性、白い着物一枚で、こんな日には妙な格好です。しかし、雪と月に照らされそれと関係なく神秘的な何かが漂ってもいました。しかし、どうにもおかしいので家についておじさんに、
「ねぇねぇ、こんな日にさ白い着物一枚で子連れで林に向う人なんかいないよね?」と聞いてみたんです。
「ああ、そんな馬鹿はいない」とおじさん
「でもね、さっきね・・そんな女の人がいたよ」と私がいうと
「・・・・・・・・・・」おじさんはくちごもってしまいました。
後で知った話で、昔、この村に迷い込んだ妊婦が村人に助けを求めたけれど結局どこにも受け入れてはもらえず人知れず林に消えていったというのです。その日も雪月の夜だったそうです。
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