これは私が中学生だったころの話です。
気付いたらどこからか声が聞こえるようになりました。
私に助けを求める声です。
最初は一人で部屋にいる時に限ってだったのですが、いつの頃からか何をしていても聞こえるようになりました。
「ここから出して。」「助けて。」「ここから出して。」「出たいよ。出たいよ。」と。
二種類の声・・・
というか、心に響いて来るような、切ない思い。何だろう、何だろうと思っていました。当時は反抗期の真っ最中。
両親とほとんど口も利いていなかったので、たぶん、友達には相談していたかもしれませんが、一人で抱えていたと思います。
声を感じ始めて三ヶ月ほど経っていたと思います。
机にあったワープロの真っ暗な画面にくっきりと、立派な鼻髭を生やした面長の男性の顔が映って(浮かんで)、その後ろには日本髪を結わえた眉の太い女性がいました。
ハッとした瞬間、巻物が見えて、慌てて父の元へ走り
「うちに巻物がない?」と尋ねていました。
父の表情が一瞬曇りました。そして、渋々、埃だらけの物置の奥から、一本の巻物を出してきました。
私は訳も分からずに、でもこれだという確信みたいなものがあって、ポロポロ泣いていました。
広げてみると、夫婦の孔雀が描かれていました。
その二羽の孔雀を見て、私に助けを求めて来たのは、この孔雀に間違いないと改めて確信しました。
この巻物は昔、父の祖父が金貸し紛いなことをしていて、借金を返せない人から取り上げてきた物の一つだったらしく、遺産分けで回って来たもので、父にとってはいい思い出のないものだったので、しまいこんですっかり忘れていたということでした。
私は曽祖父の顔を見たことがなく、それどころか父の幼少時代の写真も見たことがありません。
理由があって、ないのですが、ワープロの画面に現れた口髭の男性を絵に描いて父に見せると、間違いなく曽祖父だと言いました。
なぜ、孔雀は私に助けを求めて、そこへ曽祖父が現れたのか、結局、分からず仕舞いでしたが、その後、巻物は供養するため持ち出されました。
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