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●近所の怪談第五夜
全国よりご投稿頂いた恐怖体験談を掲載しています。
 

     
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怪談数  御 題    御投稿者様
0471 お客の肩 梟 様
昔ホステスをしていた者です。
そのホステス時代に体験した話を聞いてください。
バブルが絶頂の1980年代後半の大晦日・・店は「カウント・ダウンパーティー」で賑わっていました。
私はある大手会社の重役達を相手に仕事をやっていました。
「おお、梟ちゃん、今日もべっぴんだねぇ」と重役の一人Dさんが言う。
何時もどの娘にも「べっぴんだねぇ」と言うのが口癖でした。
「やだぁ、Dさん、お上手ねぇ」なんて適当にあしらう。
「しかし、今年は儲かりますねぇ、やっぱあれですかバブルですか?」とこんなとこまで仕事の話を持ち込むのはYさん。
「しかし、社長はいかんですよ」と愚痴るのはTさん。
Tさんはこの中でもひどく酒癖の悪い人でした。
「ところで梟ちゃん・・こんな話知ってますかね」
「何?」
「人が死んだら、みんな地獄へ落ちるんだって」
「やだぁ、Dさん、こんなお祝いの席でそんな話はよしてよぉ、お酒回ったんじゃない?」
「今年はいい年だったよぉ、あんましにいい年過ぎて、これ以上いい事思いつかねぇやぁ」
何故かすっごくノリノリで話すDさんのそんな話の内容が私は一瞬、ゾクッくる怖さのようなスーッと流れる空しさのようなものを感じたのですが、すぐに笑顔で、
「弱気になっちゃだめよ、だって今日はお祝いじゃない、ねぇ」
といいDさんを励まし、Dさんも別になんら問題ないような顔して何時ものようにひょうきんに振舞っていました。
パーティも無事終わり、Dさん、Yさん、Tさんはそれぞれ店を出ます。
「いやぁ、今日は楽しかったよぉ、またよろしくな」
「こちらこそ、またご指名くださいね」
そうDさんを最後に三人の後ろ姿を見た瞬間・・Dさんの肩に骸骨が乗っかっているのが一瞬でも確かにくっきり見えたのです。
Dさんが自殺したという連絡を受けたのはそれから一瞬間後でした・・自宅のアパートから飛び降り自殺・・・。
なんでも奥様と離婚なさって、一人で暮らしておりひょうきんに振舞う反面、誰にでも自分の本音やらを言える人ではなかったそうです。
そして、彼はあの大晦日の前日にひき逃げをしてしまっていたというのです。
それが分かったのはDさんが自殺して、しばらくしてからでした。
―「人が死んだら、みんな地獄へ落ちるんだって」―
あの言葉はもしかして一瞬見せた彼の弱さか何かだったのではと思うと胸が痛みます。
その後、バブルは崩壊・・・私は店をやめました。そしてその店も不況の波で閉店・・。
人の人生は分からないもの・・人の心は見えないもの・・・
でも、あの時一瞬見えていたのでしょう・・・。
2006/10/
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