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●近所の怪談第五夜
全国よりご投稿頂いた恐怖体験談を掲載しています。
 

     
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怪談数  御 題    御投稿者様
0445
婦人の鏡  G 様
あの家・・ああ、あの家。久々に会った故郷の幼なじみとある話で盛り上がった。
私が幼い頃から住んでいた故郷は海に面した片田舎で、あまり観光的なものなんてなかったから夏もガラーンとしていた。
そんなこの海辺の町に疑惑付きの屋敷があった。
それは町の端にある岬の崖の上にある古い洋館で長い事空き家になっていた場所だ。
そこに小学生ぐらいだったか、友人ら5人くらいで入ってみた事がある。
私はそこで見た長い大きな鏡がどうも気になっていた。しかし、その話になるまで忘れていて、話になりふいに思い出し、妙に気になりはじめ・・・
「ねぇ、またあそこいって見ない?あの時のメンバー丁度揃ってるわけだし・・・」と提案してしまった。
すると意外にもみんな乗って、じゃ今夜だし今から行こう!という事になり行ってみた。
あの家は以前にもまして気味の悪い空気があった。
そこに来て、何気に提案するんじゃなかった・・などと後悔しはじめたが、みんなは足早に中に入っていく。
鍵は開いていた。今思えば不思議だが、その時はそのことになんにも感じなかった。
あの時も普通に開いていたから。
その例の鏡があるのは2階の女性用の寝室だったことは覚えていた。
家の中には蜘蛛の巣がかかったガラス食器に写真、家具が散乱することなく妙に綺麗に整頓されていた。
そして2階へ・・
「あのさ・・あの鏡覚えてる?」
「うん?何それ?」
「ああ、あの金箔の縁取りの?」
「うん・・なんか気になってさ」
「やめてよ・・鏡って怖いし」
「今更、それはなし」
そんな会話をしていたら、ふとT弥が、
「ごめん、ちょい用たしてくる」
と言って、外に出た。
「じゃ、みんな分かれて回るか」
と提案したのはM雄。
「そうする」
「私はS子と回る」
「じゃ、私は一人で回るね」
と何故かみんな個人行動賛成。
私は真っ先にあの部屋を探し当てた。
「・・・あった・・・」
あの鏡は昔と少しも変わらずそこにあった。
蜘蛛の巣を叩いて、ウエット・ティシュ(何時もカバンの中にある)で鏡を拭きやっと見えた。
その時・・・
いた・・・彼女が・・赤い髪を垂らして黒いドレスを着、私の背後に力なく立って・・・。
顔は伏せている。
私は体が硬直して立ち止まって鏡の中の世界を見ているだけだったが、心の中は戦慄が留め止めもなく走り続ける。
すると彼女は少しずつ顔を上げ始めた!(ヤバい!?)そうは思うのに硬直した体が動いてくれない。(ヤバい、ヤバい!?)彼女の顔を見たらヤバい!!という気持ちが走る。
すると「おーい、G(私)」とあのトイレへ行ったT弥が呼びに来た声が、すると彼女は部屋を出て行った。
途端に私の腰が抜けた。
しかし、部屋に入って来たのはS子とH美だった。
「え?T弥じゃないの?」
「何言ってるの?T弥だったら外で待ってるよ」
「見なかったの?」
「え?」
「ここから出る赤毛の女よ!?」
「何言ってるの?赤毛なんてこのメンバーにいた?」
彼女らは見てなかった・・。
しかし、翌日、その家の内部や様々な事を知っている人に偶然バス停で出会った。
その日は私が東京に戻る日で雨が降っていた。バスは1時間に1本で納屋みたいなとこでベンチに座っていたら、おばあさんが隣に座り何故かその家の話になった時・・・
「ああ、Fさん宅か・・懐かしいね」
「え?ご存知なんですか・・その家の住んでいた人を?」
「知ってるも何もそこの家の家政婦していたんだから」
「え?じゃ、婦人ってどんな人がいたかとか知ってますか?」
「あなたよく知ってるね、そうそう、あそこのお屋敷には綺麗な婦人がいたよ」
そのおばあさんの話では、戦前、あの屋敷にはF家の人が暮らしていて、A子婦人という綺麗な婦人がいたが、主人の事業が失敗しそれでゴタゴタの末、あの家で自殺をしたというのである。
「そうだったんですか・・あの家に二回肝試しに行ったんですが、多分、その婦人のものだと思うのですが鏡があって・・・」
「鏡?」
と、おばあさんはハテ?という顔をした。
「ええ、鏡があって、それに妙に気をとられ」
とあえて、あの赤毛の女の事は伏せて言うと、信じられないことをおばあさんが・・・
「変だねぇ・・あの鏡は婦人が海に投げ捨てたはずなんだけど・・・」
そんな馬鹿な・・・さらに・・
「婦人って赤毛でしたか?」
「いいえ、綺麗な黒い髪よ」
じゃ・・私が見たあれは?私が見た鏡は?なんだったの?
2006/07/
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