信じられない事を聞いたのは5年前の秋でした。
それは夫の言った一言からです。
夫:「お前、昨日、R町に出掛けててたのか?」
私:「え?昨日は一日中家にいたわよ」夫はセールスマンで色々な町に出向いて仕事をしていて、昨日は、家から遠いR町に行った時、私を目撃したというのです。
夫:「いや・・あれは確かにお前だったよ」
私:「まさか、他人の空似でしょう」と、その時は笑って気にしませんでした。
それから数日後、今度は中学生の息子が
息子:「母さん、昨日さ、学校の近くいただろう?」
私:「何いってんのよ、私、あんな遠くになんか行かないわよ」
息子の学校は隣町で、私は主婦なので近所で色々すますのが日課です。
隣町なんて滅多に出ません。
息子:「だって、友人が、お前の母さんに話かけられたって・・息子はどうなんて・・・聞くなよ、そんな事」
私:「やめてよ・・行ってないってば」
さすがに少し怖くなって来ました。
だって、私は隣町なんて行ってないし、R町にだって・・・一体なんなのよ・・・!?
それから、何年か経ち、夫の母親の葬儀でバタバタしてた頃、私は、みんなの夕食の買出しに出掛けました。
スーパーは、その葬儀場所から小さな橋を渡って少し歩いたところにありました。
その日はひどい雨であたりが十分に見えませんでした。
買い物をすませ、買い物袋をぶら下げ橋を渡ろうとした時、向こう岸から赤い傘をさした人が渡ってくるのです。
さほど気にはしていなかったのですが、次第に(え?)私に似てる・・・?
その女の人が自分に変に似ている事に気付いたのです。
ところが(あれは・・・私・・・!?)いるはずもない人物がそこに存在しているとだんだん気付いて来たのです。
互いにもう目と鼻の先に来て、顔が見えた瞬間、頭上から冷水を掛けられたような衝撃が体を襲いました。
(私だ!?)ありえない・・そんな馬鹿な・・・私がそこにいる・・・!?
その女は、私を確認したような顔をして「ニタッ」と笑い、止まっている私を通りぬけて行きました。信じられないまま5分ぐらいそこに立ちつくしていました・・・。
「はっ」と我に返り、急激に言葉に出来ない恐怖感が襲って来て、走ってみんなのところに戻りました。
あれから以降は彼女に会ってはいません・・でも、もう会う気はしません・・だって、今度会う時は・・・・。
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