私は、福岡市立、●●小学校を卒業しました。
私が小一か、小二、の頃、古い木造校舎が壊されることになりました。 ある日、休み時間に、数人の友達と、壊されてゆく木造校舎を眺めていると、バリバリと壊されている木造校舎の二階に、四、五人の、五、六年生ぐらいの上級生が、両手を大きく振って、木造校舎を壊している真っ最中の重機に向かって手を振っていました。 私は、「ああ、おれぐらい大きくなると、壊している最中でも建物の中に入れるんだなあ」と思い、成長した者の特権のようなものを感じていました。 ところが、一緒に破壊されてゆく木造校舎を見ている友人たちは、そんな人たちはいないと言い張るのです。 私には、はっきりと大きく腕をふる上級生たちが見えているのに。 私は意地になって、「じゃあ、あの建物の中に入ろうよ」と、言い張りました。 そして、その木造校舎の入り口に差し掛かると、入り口は硬く閉ざされ、誰も中には入れないようになっていました。 ところが、ガッツンガッツンと重機が壊している木造校舎の、ぼろぼろに破壊された端には、やはりあの上生たちが、 「やめて!壊さないで!」と懇願する悲痛な叫び声と、大きく腕を振る様子が私の目にははっきりと目に映っていたのです。 でも、他の人たちには何も見えてなかったようでした。 やがて、休み時間の終了を告げるチャイムが鳴り、私たちは教室に帰りました。 今思うと、あれは生きた人間ではなかったと思うのです。 私以外の人には見えていなかったし、それに、その人たちが大きく手を振っているその場所を、重機が何の躊躇もなくガッツンガッツンと壊していったのですから。 私が心配なのは、もしかするとその校舎に住んでいたのかもしれないその幼い霊たちが、居場所を失ってさまよっているのでは、と思うのです…。
|