「写していいもの、写してはいけないもの。」 それはカメラマンである私達にとっては一番気になる事のひとつです。 写してはいけないものは、例えば人のプライベート、それから、まぁ、得体の知れない何かでしょうか。 去年、私は仕事で大阪から東京に取材に行った時の話です。 あの頃(今も多少そうですが)、そういう得体の知れない何かというものを受け入れない性質の私は、夜ひとり、東京の郊外をドライブに出掛けました。 となりには当時の彼女、現在、私の妻なのですが、彼女を乗せていました。 少し走って、とあるT●山地付近で、撮影で出来そうな場面に遭遇。 私は迷わずシャッターを押しました。それがどういうものかなんて知らずに・・・。 大阪に帰った直後、私は熱で寝込んでしまいました。 夢の中で、なんか、何かが動いているのです。 もがくような、苦しそうに・・・ それが日に日にはっきり見えるようになっていくのです。 そんなある日、彼女が写真の焼きまわしが出来たので見せてくれました。 あの写真は、実はT●山地付近の、ある墓地を撮影したものなです。 私が半分悪戯半分に撮影したもので、この時、少し酒を飲んでいたせいもあるかもしれませんが、本当に何も迷わず撮影してしまったのです。 その写真に写っていたのは・・・ 見知らぬ女が、こちらをなんともいえぬ恨みに怨んだ顔で睨み付けているのです。 墓地の端の柳の下で黒い靄につつまれて、しかも墓地中央には、子供が大勢で、叫ぶように悲痛の顔で写っているのです。 しかも、柳の下の女も子供も、あまりにもリアルな顔で、全体的に黒い靄につつまれているのです。 その写真を知り合いのカメラマンに見せると、彼の実家は寺で、焼いて供養してくれました。
それから僕の体調は整い、彼女とも結婚出来ました。
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