壁に・・たまにあるんですよね。
人がへばり付いたような跡みたいなのや見るからに人の顔みたいなシミが・・・。 あの家には、あったのです・・・そういうシミが。 しかも、そのシミは変にリアルで、輪郭から目鼻がはっきりしたハンサムな若い男の顔なのです。 中学入学時に引っ越して来て、初めて、その壁の顔に出くわした時、あまりにリアルで気味が悪く壁に新しい壁紙を貼ったのです。 しかし、それも無駄で、そのシミは、次第に新しい壁紙にまで染みてきたのです。 そして、毎晩毎晩・・そこから声がするのです。 微かな、囁きのようで、土盛癖のある低い声で「ボソボソ」と何かを云ってるのです。 何を云っているのか聞けるのは聞けるのですが、あまりに気味が悪いので聞く勇気が出ませんでした。 「うわーまた、なんか喋ってるよ・・」と何時も、気味悪くてイライラしていました。 そうして、ある梅雨の夜。その日は母も父も仕事の旅行で、信州に行っていまして、私一人でした。 「あー、今日は、あの独り言を私一人で相手するのかーいやだなー」 と思って、夜になりました。 その日に限って、あの例の独り言はありませんでした。 「ははは・・気遣ってるのかな・・・?」と思い安心して眠りに付きました。 しかし・・・寝てから30分くらいたって 「う・・う・・・」と、あの土盛癖のある低い声が、私の頭上がするのです!!(!?)ビクっとし、目が覚めました。そしたら・・・・ いるんですよ・・ あのシミが頭上の天井に・・・・・!?(ヒィ!!) この時、ばかりは肝が冷えました。 「う・・うう・・・」あのシミは、ひたすら苦しみもがいているのです。 その光景といったら、もう、この世とは思えません (いや・・・なんで、そんな顔、私に見せるの?) と思いつつ、私は段々と気が遠くなり、気付くと、朝になっていました。 すると、居間からけたたましく電話が鳴りました。 「はい・・××ですが・・・」 「ああ、牛若丸ちゃん!?あのね・・君のお父さんが、昨日の夜・・心臓発作おこされてね・・今、病院にいるんだよ!!」 「・・・・・・・・・!?・・・・・・・」 あの、もがくような苦しそうな顔は、父が心臓発作で苦しむ顔だったのです!! 幸い、父は一命を食い止め、二ヵ月後に何事もなく退院しました。 不思議な事に、あんなに消すのに苦しんだ壁のシミが、あれ以来、その壁からは消えたのですがその代り・・・・・ 私の部屋の天井に引っ越してきたのです・・・・。
今でも、その部屋に、あのシミはいます・・・。
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