それは9年前に大きな病院に入院していたときのことです。
はじめて入院することになった私は、はじめ 「病院には霊が出るって言うしな…」と少し怖かったのですが不思議と入院当日の夜は怖さも感じず、ぐっすりと眠りました。 2日目も平穏に過ぎていきました。 病院が怖いなんて嘘だな、と思い始めた3日目の夜です。 6人部屋だった私はベッドの周りのカーテンを閉め、寝る体勢になりました。 そして目をつぶった瞬間です。 ベッドの横にある見舞客用のスツールに誰かの気配がするのです。 「気のせいだ」 自分に言い聞かせ、眠ることに集中しました。 するとその気配はベッドの周りをぐるぐると周りはじめました。 何周も、何周も… 怖くて目もあけられず 「気のせいだ、気のせいだ」とずっと思っていて、何分くらいがすぎたでしょうか… 「気のせいだ」と心の中で言っていた私に 「気のせいじゃないぞ」といわんばかりに突然背中を誰かに触られたのです。 すーっとなでるような感触です。 恐怖のあまり身の毛がよだちました。 そのときです。 ガラガラと部屋のドアが開き、看護婦さんが小さな声で 「失礼しまーす」と入ってきたのです。 私は思わず 「さっきもこの部屋に誰か来ましたか?」と聞くと、 「誰もいなかった」と答え、なぜか少し暗い顔になりました。 それ以後このような体験はなかったのですが、看護婦さんに聞くと霊の噂はたくさんあったそうです。 また、これは心霊現象なのかどうかはわかりませんが、病室の壁に夜、耳をくっつけると 「コツコツコツ」という音が近づいたり遠ざかったりしていました。 まるで誰かが壁の中を歩いているかのようでした。
これは私と隣のベッドの女性の二人だけが聞こえていました。
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